平河天満宮の境内、鳥居を入り左側の平河稲荷神社参道の分岐点に置かれている一基の石牛である。平河天満宮では「撫で牛」と呼んでおり、石牛を撫でると学芸が上達するという信仰のため参拝者による接触多いためか、頭部や背部については磨耗が見られ、尾部は一部が欠損している。
銘文などから、浄瑠璃常磐津節の岸沢右和佐の麹町の門弟及び雲泰堂柳女門人をはじめとする人々が奉納したものである。
奉納された嘉永5年は、祭神菅原道真公の950年遠忌にあたり、平河天満宮でも居開帳が行なわれ、石牛が一対奉納された(片方の石牛は明治5年までの間に失われ、本件1基のみが現存する)。
撫で牛の所在状況を把握するため、近隣区の天神社並びに牛をまつる神社の現地調査を行ったところ、この石牛は、牛嶋神社〔文政8年(1825)・石製〕、湯島天満宮〔嘉永2年(1849)正月・石製〕についで古い物件である。
千代田区指定有形民俗文化財 石臼 指定 平成二十二年四月